教員の紹介

研究者情報
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学位
博士(理学)
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担当授業科目
線形代数I,線形代数II,暗号の数理,情報デザイン・コミュニケーション工学概論
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専門分野
特異点論、リー環論
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研究内容キーワード
特異点,モノドロミー群,Lie群・Lie環,symplectic幾何
研究室の概要
特異点理論と言っても、代数幾何的アプローチ、環論的アプローチなど様々ですが、本研究室では、Lie群の群軌道の観点から特異点を研究しています。この群軌道上には、自然な幾何構造としてシンプレクティック構造が入るのですが、これは周期写像、それが満たす微分方程式(Gauss-Manin接続)と関係し、群論的なモノドロミー群(周期写像の多価性を表す)の研究、さらにモノドロミー群の不変式としての特殊関数の研究へと繋がって行きす。
卒業研究では、基礎となる線形代数、特にジョルダン標準形を学び、それに関連したテーマを扱っています。
研究室の研究テーマ
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複素鏡映群と特異点
単純特異点と単純Lie環の関係が、Brieskorn-Slodowyにより明らかにされ、周期写像のモノドロミー群としてWeyl群(鏡映群)が現れる事が示されています。鏡映群の”良い”一般化として複素鏡映群が有るのですが、そのLie理論的構成がE. Vinbergによってなされています。では、この複素鏡映群をモノドロミー群として持つ特異点は存在するのか、存在するならばLie理論的に構成せよと言うのがテーマです。特別な場合に、行列の特異値と関係します。
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楕円曲線上のゲージ理論と単純楕円特異点
楕円曲線のcone特異点として単純楕円特異点が現れますが、そのLie理論的構成を行う事がこの研究のテーマです。有限次元単純Lie環には冪零多様体と呼ばれる特異点を持つ代数多様体が有り、これが単純特異点を構成する上で重要な役割を果たしました。その為に、まず有限次元単純Lie環、冪零多様体の対応物は何かを考えなければいけません。これは、楕円曲線上の反正則接続全体のなす無限次元アファイン空間上の直線束(単純Lie環に対応)上に無限次元Lie群であるゲージ群(単純Lie群に対応)が作用し、その不変式の零点として不安定ベクトル束(冪零多様体に対応)を捉える事により解決されるはずですが、まだ完全な証明は出来ていない状況です。
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Painleve方程式の初期値空間と単純楕円特異点
Painleve方程式の分類と単純楕円特異点の分類は奇妙にも一致しています。また、ある単純特異点の特異点解消空間はあるPainleve方程式の初期値空間に稠密に入っている事が分かっています。さらに、Painleve方程式の現れる座標変換はモーメント写像と考えられ、変換群として現れるアファインWeyl群の一部はモノドロミー群の作用として捉えられます。この様な現象から、Painleve方程式と特異点は何某かの関係にあると思われますが、まだ分かっていません。この関係を明らかにする事が、この研究のテーマです。