明瞭多彩な色調および形状変化を示すセンサーの開発

研究キーワード
  • インテリジェントポリマー(知能性高分子)
  • センシング
  • 分離
  • 薄膜
  • 刺激応答性ゲル(ジェル)
分子認識科学 分析化学 機能物性化学 分子機械工学

地球環境、室内環境、体内環境など、私たちの生活に関わる様々な“環境”をより良いものにしていくため、環境変化を敏感に察知してシグナルを発してくれるセンサーを開発しています。例えば、当研究室で開発することに成功した糖センサーは、血液や尿に含まれる糖の濃度に応じて明瞭で多彩な色調変化を示すため、糖尿病のような深刻化する生活習慣病の予防や治療に大いに役立つと期待されています。
また、特定の分子の存在を感知して形状が変化する“刺激応答性ゲル”の開発にも取り組んでおり、化学的な情報を力学的なエネルギーに変換できる“分子機械”の創製を目指して研究を進めています。

糖尿病の予防・管理に向けた
パーソナルユース糖センサー

糖尿病をはじめとする生活習慣病が世界中で急速に増加しており、誰もがいつでも簡単に安価で利用できる診断技術の開発が求められています。開発した糖センサーの最大の特徴は、サンプル溶液に浸すだけで糖の濃度に応じて明瞭多彩な色調変化が現れる点です。

果糖濃度(mM)

これまでに、緑→黄→赤と信号機式に変色したり、基板内の複数のスポットが多様な変色パターンを示すなど、様々なタイプが作製されており、見た目でわかりやすく測定できる便利な新技術として実用化が期待されています。

次亜塩素酸濃度を色調や
形状の変化により表示する検出チップの創製

次亜塩素酸は、消毒剤や漂白剤として広く用いられていますが、不安定で分解し易いため、製品中の次亜塩素酸濃度を簡便にわかり易く測定できる手段が求められています。
次亜塩素酸に対する応答メカニズムを確立し、これを用いて信号機式の色調変化を示す薄膜や、○から×へと表示形状が変化する薄膜を作製することに成功しています。

また、次亜塩素酸応答性ゲルと非応答性ゲルを二層構造化し、アナログ時計の針が進むように湾曲して次亜塩素酸濃度を指し示すゲルを作製することにも成功しています。

乳酸に応答して図柄が変化する
スポーツウェアの開発

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血液や汗に含まれる乳酸は、運動強度の指標として用いられていますが、その測定は手軽に行えるものではありません。乳酸応答性薄膜を木綿布や濾紙など様々な基材と複合化し、種々の色素と組み合わせて用いることにより、乳酸の濃度に依存して色調や模様が変化する複合材料を開発することに成功しました。

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これをトレーニングシャツに応用できれば、運動疲労による汗中の乳酸濃度の上昇を目視で簡単に確認し、運動強度の適切な制御を行うことが可能となります。試合中の選手交代のタイミングを知らせるセンサーとして、活用できる可能性を秘めています。

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PERSONAL DATA

兼清 泰正

兼清 泰正Yasumasa Kanekiyo

機械電気系 准教授

専門分野
分子認識科学
所属学会
日本化学会、日本分析化学会、アメリカ化学会
担当授業科目(学部)
機械知能・生体総合工学I、機械知能・生体総合工学II、機械知能・生体工学セミナー、バイオマテリアル、生体分子工学、地域未来デザイン工学入門/短期履修
担当授業科目(大学院)
分子機械特論I、分子機械特論II、医療工学特論
主な研究テーマ
環境応答性分子認識機能材料の創製
研究キーワード
インテリジェントポリマー(知能性高分子)、センシング、分離、薄膜、刺激応答性ゲル(ジェル)