寒冷地河川では、主に気温の低下によって河川内に氷(河氷)が形成されて、春先には気温の上昇によって河氷が融解、破壊されて解氷して下流へと流れます。流れた河氷が河川内で堆積して流れを妨げると、アイスジャムが発生して水位の急激な上昇を引き起こします。アイスジャムは、アメリカ、カナダ、中国、ロシアなどの冬に気温が零下になる諸外国でも発生して洪水を引き起こします。日本では北海道で人的被害や水位の急激な上昇を引き起こしています。
これ以外にも、冬期間に河川内の取水口に河氷が詰まる取水障害、河川の底にアンカーアイスという氷が形成されて剥がれる現象、寒冷地河川特有の現象を観光資源(ジュエリーアイス、シガ、解氷クイズ)として利用等、様々な課題や未解明の現象があります。
「ジュエリーアイス」を対象にして、現地観測により、どのような過程を経て出現するのかを解明し、計算モデルにより出現時期を推定する研究を行っています。
様々な場所に適用できる汎用性の高い出現時期予測手法を開発することで、将来的には、北海道内のまだ広く認知されていない「ジュエリーアイス」のような綺麗な氷を発見・発掘して観光資源を掘り起こしていきたいと考えています。
ジュエリーアイスの出現メカニズムは、観測データと気象データを⽤いて定量的に評価する⼿法を検討し、ジュエリーアイスの出現時期を推定する⼿法の開発を目指しています。
ジュエリーアイスが出現するまでの現象として、形成、破壊、輸送、堆積、融解の5つの現象で説明が出来ると仮説を立てて研究を進めています。気温、風向風速、潮位等のデータを用いて、いつ、どのくらいのジュエリーアイスが出現するかを推定する計算モデルの開発を進めています。
吉川 泰弘Yasuhiro Yoshikawa
社会環境系 教授