道路に求められるサービスは、量的な充足とともに公共空間としての高い安全性や快適性など質的な向上へと移行しており、道路の性能を限られた条件の中で、効率的に提供することが求められています。
また、人口構造ならびに社会インフラが高齢化する一方、近年では新たなモビリティサービスや高度運転支援技術が急速に発展しており、人および乗り物と道路の関わり方が人を中心としたものへと急速に変化しています。人・乗り物・道路と自然および社会環境に配慮した総合的なアプローチによる、土木工学と人間工学的見地から安全・快適で円滑な交通を確保するための研究を行っています。
近年、地域を豊かにするための賑わいある道路空間創出に対するニーズが高まっており、人を中心とした安全・快適な歩行空間の整備が必要不可欠となっています。また、電動キックボードに代表されるパーソナルモビリティの利用も急増しており、今後道路空間の移動形態はますます多様化していくことが想定されます。
本研究では、パーソナルモビリティの乗り心地に関係する路面特性を明らかにし、路面凹凸を測定し把握する「点検」と点検結果に対する「診断」を一体化した、歩行空間における路面評価手法の開発を目指しています。
人の心拍数や発汗量などの生理情報と認知反応に基づく心理情報を計測し、路面に起因するストレスや疲労を客観的に評価する試みを行っています。近年、交通事故が社会問題となる中で、社会基盤の観点から移動時の精神的・身体的負担を軽減し、安全で快適な道路交通の実現を目指しております。
道路・交通諸問題は非常に地域性の強いものです。当研究室では、JICA「道路アセットマネジメント技術の中核人材育成プログラム(RAMP)」の長期研修生(留学生)の受け入れや、産官学連携の共同研究により、地域の実情に応じた道路アセットマネジメントに関する研究を行なっています。
また、道路交通問題に関する基礎研究に加え、実社会における問題解決に向けた研究や要素技術の開発、共同研究先の協力を得て学生参画による問題解決型の実践教育へも力を入れています。
富山 和也Kazuya Tomiyama
社会環境系 准教授