産学官連携は、産(産業界)、学(学術機関)、官(国・地方自治体)のどの立場においても私たちのより豊かな社会を構築する上で、必要不可欠な方法です。「学」の立場から、北見工業大学の社会貢献向上に向け北見工業大学の存在感向上につなげ、そして産学官連携活動の推進へとつながる基盤となる、技術アウトリーチを行っています。産学官連携をより活性化させるために有益となる大学が持つ機能について、実際の産学官連携活動から明らかにしています。また、大学の存在感向上に向けて欠かすことができない、大学「らしさ」を抽出し、そしてその「らしさ」を育てていく手法を見出すことに取り組んでいます。これらの研究成果を、日本の産学官連携活動の強化・発展につなげていきたいと考えています。
北見工業大学が取り組んでいるあらゆる産学官連携活動を解析することによるより発展的な産学官連携活動の推進に向けた大学が持つ機能の抽出を行っています。例えば、北見工業大学が取り組んでいる産学官連携活動の一つである共同研究の実績を調べることにより、様々なことが分かります。「寒冷地域」に関連する「寒」「冷」「雪」「氷」「凍」「低温」などをキーワードとする研究が全体の30%以上を占めていることが明らかとなりました。
この結果は共同研究の推進をはじめ、北見工業大学のすべての活動において「寒冷地」は強みとして威力を発揮するものと期待できることを示しています。また、このような共同研究の解析が、大学の「特徴」であると捉えられる要素を抽出するための良い手法となることを示しています。
大学は産学官連携活動の推進において重点化すべき項目として、大学の強みや特徴を把握できる機能を掲げています。組織において、組織が同じ方向を向き、永続的な発展に向けて活動するためには、その組織らしさ(コーポレイト・アイデンティティ、CI)は重要な位置づけにあります。大学機関においても、その大学らしさ(カレッジ・アイデンティティ、CI)の構築は教育、研究の量的・質的な向上と社会貢献活動向上の上で欠かせません。大学CIの構築は産学官連携を活性化させるためにも重要な基盤です。
そこで、本研究では、大学の理念など、大学らしさを生み出す大学の方針と実際に世間一般がそれら大学に抱いているイメージ(=大学のブランド認知)について比較を行い、大学が持つ機能の最大化に向けた大学CI構築とその育成について研究を行っています。
内島 典子Fumiko Uchijima
地域国際系 教授