星や銀河はどのように誕生し、進化してきたのでしょうか。ミリ波やサブミリ波と呼ばれる電磁波は、星の誕生の場となる低温(約-250℃)の星間物質から放射されるため、星や銀河の形成・進化の過程を探るうえで極めて重要な観測波長帯です。アルマ望遠鏡や野辺山45m望遠鏡など、世界最先端の電波望遠鏡群による観測によって、星や惑星の形成過程や宇宙誕生直後の銀河形成の様子が次々と明らかになりつつあります。
現在、ミリ波・サブミリ波天文学はまさに黄金期を迎えています。本研究室では、天文学の研究を通して、望遠鏡サイトでの活動、観測装置の設計と製作、データ解析ソフトウェアの開発など、様々なアプローチで、宇宙の謎の解明に取り組んでいます。
星の誕生を追いかける研究には、観測装置をつくる技術も欠かせません。特に、ミリ波やサブミリ波のような高周波かつ高感度な電磁波観測に必要な技術は、一般的な産業で扱われないため、研究者自らが装置を開発します。例えば、望遠鏡で集めた電波を検出する受信機には、超伝導という特殊な技術が使われており、それを動かすには受信機を極低温に保つ技術も求められます。
こうした装置開発は、一見遠回りのように思えるかもしれませんが、宇宙の謎に迫るためには、欠かせない大切なプロセスなのです。開発した装置は、チリのアタカマ砂漠やグリーンランドといった世界でも限られた場所に設置された望遠鏡に搭載し、未知のデータを取得します。
先端の電波観測装置で得られる観測データの解析手法の開発にも取り組んでいます。地上でのサブミリ波観測では、大気中の水蒸気による吸収や再放射の影響が大きく、天体信号や検出器由来の雑音との切り分けが重要な課題です。データサイエンスや機械学習の手法、観測方法の改良、ソフトウェアパッケージの開発などを通じて、ノイズが支配的な観測データの高精度な解析技術の確立を目指しています。
星や銀河、そして生命の起源はどこにあるのか。そんな壮大な謎を「電波」という目に見えない光で解き明かすのが電波天文学です。また、天文学には自然科学、応用物理や情報科学など様々な専門分野の知識が必要です。本学にはその環境が整っており、北見ならではの澄んだ夜空には美しい星空が広がっています。
自ら開発した観測装置で取得したデータやアーカイブデータを用い、データサイエンスの手法を駆使して観測データを解析し、星や銀河の誕生や進化の過程に迫ります。
竹腰 達哉Tatsuya Takekoshi
情報通信系 准教授