北見工業大学

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【報道発表】北極海の結氷予測は「雲」がカギ

 雲は放射過程を通じて、地球が太陽から受けるエネルギーの収支(熱収支)に大きな影響を与えます。その影響は極域の海氷面や開水面(海氷のない部分)で特に大きいことが知られています。雲の状態を正確に予測することは、海氷の融解量や海面水温の推定にとって重要ですが、気象・気候予測に用いられる数値モデルにおいては、その再現性の低さが依然として問題となっています。

 国立極地研究所の猪上淳准教授、北見工業大学の佐藤和敏助教を含む国際プロジェクトチームは、アメリカやドイツなどの研究機関が提供した9つの数値モデルの出力結果を対象に、雲と放射の再現性に関する相互比較と検証を実施しました。検証データとしては2014年9月に海洋地球研究船「みらい」の北極海航海(首席研究者:猪上淳)で取得した、船上観測データを用いました。 その結果、多くの数値モデルは、水雲(みずぐも)と氷雲(こおりぐも)が共存する混相雲(こんそううん)において、水雲の割合を過大または過小に見積もってしまうという両極端な傾向があることが明らかとなりました。

 これにより、海面に入射する短波放射や長波放射が変化し、海面熱収支の時間変化が適切に再現できていないことが示されました。これはすなわち、北極海の海氷予測においては、結氷の開始時期がずれてしまうことを意味します。 本成果は、北極海の精緻な気象・海氷予測の実現のためには、数値モデル内の雲物理過程の改良の必要性、および水雲・氷雲の特性を把握する観測データ取得の重要性を示しています。この成果は、Journal of Geophysical Research: Atmospheres誌のオンライン版に掲載されました。

 

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