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2024年2月21日付けのプレスリリースを公開しました。

プレスリリース概要

液中プラズマ処理による「アルカリ水電解が好む触媒表面」の創出

[研究概要]

 本学の平井慈人准教授らは、熱電変換材料として知られる「Ca3Co4O9」のCo(コバルト)の一部をMn(マンガン)で置換したナノ粒子に液中プラズマ処理を行うことで、アルカリ水溶液中で酸素発生反応に対して高活性かつ高耐久性を示す酸素発生触媒の開発に成功しました。アルカリ水溶液中での酸素発生反応はアルカリ水電解の陽極反応や金属空気二次電池の充電反応として知られ、エネルギー変換技術を支えています。

 本研究において特筆すべきは、表面のMn量が豊富な酸素発生触媒において高活性と高耐久性を両立できただけでなく、液中プラズマ処理によって酸素発生反応が好む触媒表面を創出できたことです。本成果をきっかけに、液中プラズマ処理による酸素発生触媒の高性能化、すなわち、アルカリ水電解触媒の開発が飛躍的に進むと期待されます。

[ポイント]
  • 熱電変換材料として知られる層状酸化物「Ca3Co4O9」は、結晶内のCoの一部をMnで置換することで、酸素発生触媒として使用できるだけでなく、液中プラズマによって室温の水溶液中で表面処理を加えることで、アルカリ水電解に適した、高活性かつ高耐久性を示す酸素発生触媒となることを発見しました。
  • 層状酸化物「Ca3Co4O9」の酸素発生反応に対する耐久性は、CoO2層内のCoによって支配されており、MnによるCoの置換には触媒表面の分解を劇的に抑制する効果があるだけでなく、液中プラズマ処理には酸素発生反応に対する化学組成の維持と耐久性の強化というメリットがあることを明らかにしました。
  • 酸素発生触媒における表面のMn量が豊富な場合、液中プラズマ処理は酸素発生反応に対する高活性と高耐久性を実現する上で有効な手段であることを示しました。
[研究助成資金等]

 本研究は、科学研究費助成事業・基盤研究(B)“d電子間に働く強い相互作用が生み出す酸素発生触媒の開発”(研究代表者:平井慈人)からの支援を受けて行ったものです。

[論文情報]
  • 雑誌名:Sustainable Energy & Fuels
  • 論文名:Solution plasma assisted Mn-doping: A novel strategy for developing highly durable and active oxygen evolution catalysts(液中プラズマ処理によって強化されたMn置換の効果:高活性かつ高耐久性を示す酸素発生触媒の開発を可能にする新規戦略)
  • 著者:何浩1、松田剛1、三浦章2、長尾雅則3、Jeevan Kumar Padarti1、大野智也1、平井慈人11北見工業大学 工学部、2北海道大学 大学院工学研究院、3山梨大学 大学院総合研究部附属 クリスタル科学研究センター)
  • DOI:10.1039/D3SE01398G
  • 受理原稿公開日:2024年1月8日
  • URL:https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2024/se/d3se01398g
 ※詳しくは、プレスリリースのページをご覧ください。

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